遅刻欠勤を繰り返す社員への実務上の注意点

経営者にとって、従業員の度重なる遅刻や欠勤は、事業の運営に支障をきたす重大事です。
コンビニエンスストアのアルバイトに欠勤へのペナルティとして給与から罰金を引いていたニュースは記憶に新しいところです。
あらかじめ罰金を決めていることは、労働基準法第16条(賠償予定の禁止)に違反します。
しかし、定められた勤務日、勤務時間に働くことは労働契約で約束していますので、約束を破ったことについては、その理由や頻度など諸事情を勘案して、遅刻、欠勤などの蔓延を放置することが社内秩序の悪化につながりかねないのであれば、やはり何らかの措置ができるようにしなければなりません。会社の懲戒権と人事権をスムーズに行使できるように、事前に制度を良く理解して、必要に応じて制度を構築し、有事に備えましょう。

1.ノーワークノーペイ

会社が支払う賃金は従業員が提供した労務の対価ですので、遅刻、欠勤等で労務提供が無い時間については、会社は賃金を支払う義務はありません。もし就業規則にノーワークノーペイの原則と矛盾する規定があれば、就業規則の改定をお勧めします。

2.指導・警告

会社の懲戒権を行使する前に、口頭および書面で、丁寧に十分な指導・警告をして、引き続き様子を見ましょう。

3.懲戒

会社の懲戒権の行使として、戒告・けん責などの軽い懲戒処分から行い、本人の反省や改善を促します。懲戒については、労働基準法第89条第9号で制裁の定めに関して、「種類及び程度に関する事項」を定めることとしていますので、就業規則に定める必要があります。懲戒の種類については法律で決まっていませんが、一般的には軽い順に次のように定めています(ただし、戒告は懲戒の前段階として就業規則に定義します)。
「戒告」最も軽い処分で、将来を戒める
「けん責」始末書を提出させて将来を戒める
「減給」けん責のうえ、賃金から一定額を差し引く
「出勤停止」在籍のまま就労を禁止し、出勤停止期間中の賃金は支給されない
「降給」けん責のうえ、等級を低位に下げる
「降格」けん責のうえ、役職を解任する
「諭旨解雇」懲戒解雇すべきところ、本人が自発的に退職した形を認めるもの
「懲戒解雇」最も重い処分。解雇予告(予告手当)が必要。

4.減給

労働基準法第91条(制裁規定の制限)で定められている懲戒権の一種です。ただし、就業規則に規定されていないと使えません。また、減給額の上限に制限があります。下記の2つの条件の両方を満たさなければなりません。
・1回あたりの減給額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならない
・1ヶ月の賃金支払期間における賃金総額の10分の1を超えてはならない

5.精勤手当

全員に精勤手当を支給するという前提で人件費の予算を取り、その分基本給を低めに設定します。遅刻や欠勤を繰り返す従業員には精勤手当が支給されないので、手取りは少なくなります。これは減給や罰金にはなりません。精勤手当を一律にするか、遅刻や欠勤の回数によって可変にするかという賃金制度の設計について、会社の裁量が認められます。

6.人事制度

正社員に限らず、パートやアルバイトに対しても人事評価制度を導入している企業があります。遅刻、欠勤などの勤怠は正規、非正規に限らず評価の対象となる項目ですので、評価と連動して賃金を見直すことは、著しく不合理ではない限り、会社の人事権として認められています。

今回は、遅刻欠勤を繰り返す社員への実務上の注意点をお伝えしました。