年次有給休暇の事後請求に回数制限を設けてもよいか?

当日の電話などによる労働者からの年次有給休暇の請求。体調不良などやむを得ない場合もあるかもしれませんが、会社にとっては年次有給休暇の事後請求が常態化すると大変困ってしまいます。そこで今回は、年次有給休暇の事後請求に回数制限を設けてもよいかどうかについて説明します。

年次有給休暇の事後請求とは

年次有給休暇は原則として休む日の0時から24時までと定められています(夜勤者には例外があります)。よって、当日になってから会社に年次有給休暇を請求することは、すでに年次有給休暇の日の0時を過ぎているため、事前請求ではなく、事後請求の扱いとなります。

年次有給休暇は請求すればいつでも当然に取得できる労働者の権利ではなく、労働者が具体的に時季を指定して年次有給休暇を請求します。ただし会社には時季変更権があります。使用者が労働者の年次有給休暇を承認するということは、すなわち会社の時季変更権を使いませんよ、という意思表示になるわけです。よって、事後請求の場合、会社は時季変更権を使うことができませんので、労働者の時季指定権が当然にあるとは言えません。

事後振替による年次有給休暇の充当を認めるかは使用者の自由

新潟地判 昭和37年3月30日 電気化学工業事件より、事後振替による年次有給休暇の充当を認めるかは使用者の自由とされています。

年次有給休暇請求権による休暇の時期をいつに決定するかは使用者に留保されるべきであるから、年次有給休暇を請求する場合労働者はあらかじめ時期を指定し、これを使用者に通知することを必要とし、労働者において任意に遅刻その他の事情により就業にさしつかえた日を有給休暇に振りかえることはできないものと解すべき

しかし、上司が当日の年休振替を認めていることが反復・継続されて、労使慣行となっている場合には、当日の年休振替を認めなければならないでしょう。また、年休振替をしてしまうと、当日の年休振替となった原因(寝坊による遅刻など)を理由に懲戒をすることもできません(新潟地判 昭和37年3月30日 電気化学工業事件)。

年休の事後振替の回数制限を設けることも使用者の自由

労働基準法では、使用者に事後振替による年次有給休暇の充当を認める義務を課していません。よって、温情的に年休の事後振替を認める場合に年○回を上限とする、などの回数制限を設けることは使用者の自由です。ただし、就業規則にはっきりと定めておく必要があります。