計画年休制度の導入・活用!年次有給休暇の計画的付与

年次有給休暇は労働基準法に定められている、労働者が仕事を休んでも賃金がもらえる制度です。入社後6か月以上働く正社員やパートタイマー(週の所定労働日数1日以上)が取得可能です。年次有給休暇は労働者の請求に基づき希望日に付与される制度ですが、請求が無い限り年休を取得されないため、年次有給休暇の取得率向上のために、労働者の請求がなくても計画的に付与する制度が昭和62年の労働基準法改正で認められました。今回は、計画年休制度の活用について紹介します。

年次有給休暇の取得に関する統計

全国の平成28年就労条件総合調査(厚生労働省)によると(全国4,520企業による回答)、年次有給休暇の取得について、下表に示す結果でした。

全体として、年次有給休暇の取得率は50%に満たない状況です。エクスペディア・ジャパンの「世界28ヶ国有給休暇・国際比較調査2016」でも日本の有休消化率は50%で、28ヶ国の中で最下位でした。国際的にみても日本人の年次有給休暇取得率は低い水準だと思われます。

性別では女性の方が男性よりも年次有給休暇の取得率は高く、企業規模別では規模の大きい企業ほど年次有給休暇の取得率が高い結果が示されました。

平均付与日数
(日/人)

平均取得日数
(日/人)

取得率 (%)

全体

18.1

8.8

48.7

性別

男性

18.4

8.4

45.8

女性

17.2

9.3

54.1

企業規模

1000人以上

19.1

10.4

54.7

300~999人

18.0

8.5

47.1

100~299人

17.7

7.9

44.8

30~99人

17.0

7.4

43.7

年次有給休暇の計画的付与制度とは

年次有給休暇の付与日数のうち、5日を除いた残りの日数については、労使協定を結べば、その協定に基づき、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度です。事業主にとっては労務管理がしやすく計画的な業務運営ができること、従業員にとってはためらいを感じずに、年次有給休暇を取得できることなどのメリットがあります。

計画的付与制度の方法

このような年次有給休暇の計画的付与制度は、下記の方法があります。

企業もしくは事業場全体の休業による一斉付与方法

  • ゴールデンウイーク、お盆、年末年始などの時期に連続休暇を配置
  • 閑散期に計画休暇を配置
  • 祝日が会社休日になっていない場合は祝日に計画年休を配置…など

班・グループ別の交替制付与方法

  • プロジェクトの節目に合わせて計画的に休暇を配置…など

年次有給休暇付与計画表による個人別付与方法

  • 各人が決めた記念日など、アニバーサリー休暇を配置…など

計画的付与制度の導入に必要な手続きとは?

年次有給休暇の計画的付与制度の導入には、就業規則による規定と労使協定の締結が必要になります。

就業規則による規定

年次有給休暇の計画的付与制度を導入する場合には、まず、就業規則に「5日を超えて付与した年次有給休暇については、従業員の過半数を代表する者との間に協定を締結したときは、その労使協定に定める時季に計画的に取得させることとする」などのように定めることが必要です。

労使協定の締結

実際に計画的付与を行う場合には、就業規則の定めるところにより、従業員の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で、書面による協定を締結する必要があります。なお、この労使協定は所轄の労働基準監督署に届け出る必要はありません。

労使協定で定める項目

  1. 計画的付与の対象者(あるいは対象から除く者)
  2. 対象となる年次有給休暇の日数
  3. 計画的付与の具体的な方法
  4. 対象となる年次有給休暇を持たない者の扱い
  5. 計画的付与日の変更

年次有給休暇を5日以上持たない労働者への対応

会社全体での一斉付与を導入する場合、年休権がない労働者や年休日数の少ない労働者については、計画的付与の対象とすることはできません。次の方法が考えられます。

  • 特別の休暇を与える、年休の日数を増やす
  • 事業主都合による休業の措置をとり休業手当を支払う
  • 年次有給休暇のない者については当日を休日と定める…など

労使協定で指定した休暇日を会社都合で変更する場合の対応

計画的に付与される年次有給休暇は、労使協定で定めるところにより、付与されることとなるため、労働者の時季指定権、使用者の時季変更権は共に行使できないとされています(昭和63年3月14日 基発150号)。もし、労使協定で指定された計画年休日に事業の正常な運営を妨げる事由が生じて会社都合で変更する必要がある場合は、労使協定の変更手続の定めをして、その定めに基づく適切な手続を経て行われる必要があります。

むすび

10日以上年次有給休暇を付与される労働者に対して5日分を取得させなければならないという、年次有給休暇の取得義務化の法改正案がありますが、この年次有給休暇の計画的付与で5日以上年次有給休暇を取得させていれば改正後の労基法の水準に十分足りますので、年次有給休暇の取得率の低い会社では計画的付与について検討されてみてはいかがでしょうか。