専門業務型裁量労働制の導入!押さえるべき3つのポイント

労働基準法では基本的に労働時間に対して賃金が支払われることになっていますが、研究開発職などの一部の職種に限り労働時間に縛られない労働時間制度が認められています。そこで今回は、専門業務型裁量労働制を導入するときに押さえるべき3つのポイントを説明します。

3つのポイント

  • 裁量労働制の対象業務の範囲は適正か?
  • 労使協定を締結し、労働基準監督署長に届け出ているか?
  • 労使協定の内容は必要な事項が定められているか?

専門業務型裁量労働制とは

業務の性質上、遂行の手段や方法、時間配分等を労働者の裁量に大幅に委ねる必要のある場合、あらかじめ労使で決定した時間数を働いたものとみなすという制度

裁量労働制の対象業務

業務の性質上、

その遂行の方法を大幅に当該業務に従事する労働者の裁量にゆだねる必要があるため、

当該業務の

・遂行の手段

・時間配分の決定…など

に関し、使用者が具体的な指示をすることが困難なもの

として、厚生労働省令で定める以下の業務に限られます。

  1. 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
  2. 情報処理システムの分析又は設計の業務
  3. 新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務、放送番組の制作のための取材若しくは編集の業務
  4. 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
  5. 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
  6. コピーライターの業務
  7. システムコンサルタントの業務
  8. インテリアコーディネーターの業務
  9. ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
  10. 証券アナリストの業務
  11. 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
  12. 大学における教授研究の業務
  13. 公認会計士の業務
  14. 弁護士の業務
  15. 建築士の業務
  16. 不動産鑑定士の業務
  17. 弁理士の業務
  18. 税理士の業務
  19. 中小企業診断士の業務

ただし、上記の業務であっても

裁量労働の性質上含まれないとされている業務がありますので、個別に要件を確認される必要があります。厚生労働省労働基準局監督課「専門業務型裁量労働制」

例えば、「(2) 情報処理システムの分析又は設計の業務 」の定義は次の通りで、いわゆるシステムエンジニアと呼ばれる職種の方が該当すると考えられます。

  • ニーズの把握、ユーザーの業務分析等に基づいた最適な業務処理方法の決定及びその方法に適合する機種の選定
  • 入出力設計、処理手順の設計等アプリケーション・システムの設計、機械構成の細部の決定、ソフトウェアの決定等
  • システム稼働後のシステムの評価、問題点の発見、その解決のための改善等の業務

また、裁量労働の対象業務には、プログラムの設計又は作成を行うプログラマーは含まれないとされています。

労使協定の締結、労働基準監督署長への届出

使用者と労働者代表者が「専門業務型裁量労働制の労使協定」を締結します。

管轄の労働基準監督署へ「専門業務型裁量労働制に関する協定届(様式第13号)」を提出します。

必要部数2部(1部は監督署印の受付印が押された控で、会社が保管します)

みなし労働時間が法定労働時間以下であっても提出しなければなりません。

労使協定の内容

  1. 制度の対象とする業務
  2. 対象となる業務遂行の手段や方法、時間配分等に関し労働者に具体的な指示をしない旨
  3. 労働時間としてみなす1日あたりの労働時間
  4. 対象労働者の労働時間の状況に応じて実施する健康・福祉確保措置の具体的内容
  5. 対象労働者からの苦情処理のため実施する措置の具体的内容
  6. 協定の有効期間(3年以内とすることが望ましい)
  7. 上記4および5に関し、労働者ごとに講じた措置の記録を協定の有効期間中及び有効期間満了後3年間保存すること

むすび

裁量労働制を導入する会社はブラックという意見もありますが、法令の要件を満たせばブラックではなく、業務処理能力が高い労働者にとっては時間や場所に縛られない働き方とも言えますので、制度そのものがブラックではなく、運用が適切でないことが問題なのです。

たとえば、裁量労働制では時間外労働という概念はありませんが、法定休日と深夜労働に関する法令は適用されますので、法定休日の休日出勤や深夜時間帯(22時~翌5時)の労働時間を適正に把握し、割増賃金を支払う必要があります。

また、裁量労働制であっても、法定労働時間を超える時間の労働がある場合には、当然36協定の締結と所轄労働基準監督署への届出が必要です。