休職期間満了日が近づいてきたときの実務的対応

社員から「自宅加療を要する」と医師の診断書が出されると、ほとんどの会社が就業規則に書いている休職期間の上限まで休職を認めると思います。今回は、就業規則に「休職期間満了時に復職できない場合は退職となる」旨が明記されている場合で、休職期間の満了日が近づいてきたときの実務的な対応を紹介したいと思います。

休職期間満了の通知

休職満了日の1ヶ月前までに休職期間の満了を通知します。

確かに当該休職者に届いたことを証明するために、「配達証明」をつけて送ります。

送るのは次の3つの書面です。

  • 休職満了通知書
  • 復職願
  • 退職合意書

休職満了通知書

  • 休職期間満了日
  • 休職期間満了までに復職できない場合、自然退職になること
  • 復職希望か自然退職合意かの意思表明の依頼(回答期限を設ける)
  • 復職希望の場合に必要な手続きの説明
  • 自然退職合意の場合に必要な手続きの説明
  • 期日までに連絡が無い場合は休職満了日に自然退職とすること

復職願

  • 復職希望日
  • 復職可能となった事情

一般的には復職願に診断書を添えることにしている場合が多いと思いますが、私は診断書はこの時点では不要だと考えます。後の「復職を希望する場合」で述べますが、復職希望があれば、会社と従業員が面談を行い、体調、復職後の業務、就業上の配慮などについて明確にします。その後、会社から労働者本人を経由して主治医へ就業に関する情報提供を行い、医師の診断書および意見書を労働者本人から提出させて、会社が復職可否の判断を行うという流れになります。

退職合意書

  • 退職日
  • 退職理由
  • 遵守事項
  • 債権債務の確認

など。個別事情に応じて条項を検討します。

2通作成し、会社と従業員の双方が署名捺印し、それぞれ1部を保管するものです。

自然退職に合意する場合には、退職合意書2通を返送してもらいます。

退職に合意する場合

期日までに退職合意書が返送された場合は、会社印を押印して1通を従業員に返送します。残り1通にも会社印を押印して会社で保管します。

また、退職日までに、会社が貸与した金品の返還を求め、退職手続きを進めます。

何も回答がない場合

もし回答期限までに何も返事が無い場合は、「休職満了通知書」で予告した通り、休職満了日で自然退職とする旨を書面および口頭で通知します。同時に、当該休職者に会社が貸与した金品の返還を求めることや、退職合意書や離職票への署名・捺印などを求めます。

復職を希望する場合

従業員本人と面談

  • どんな症状があるか?
  • 職場復帰にあたり心配事はあるか?
  • 就業にあたり会社に希望する配慮があるか?
  • …など

ヒアリングをもとに「就業配慮届」を作成し本人に署名・捺印をしてもらいます。

また、「職場復帰に関する情報提供依頼書」を作成し、本人に署名・捺印をしてもらいます。

  • 従業員氏名・性別・生年月日
  • 情報提供依頼事項
  • …など

会社から主治医にヒアリング

従業員本人と面談した結果、就業配慮に関して医師のご意見を伺います。

上記の「職場復帰に関する情報提供依頼書」を医師に提出し、さらに具体的に下記の事項を書面で医師に伝えます。

  • 就業状況について(業務内容、通勤状況など)
  • 会社と当該労働者が協議した就業配慮検討事項
  • …など

主治医の診断書

  • 就業上の配慮および配慮が必要な期間
  • 治療が就業や通勤に与える影響
  • …など

従業員の復職

会社が職場の配慮を最終決定して復職

診断書に記載された配慮期間、就業上の配慮を行います。

上記配慮期間が満了する前には、就業配慮について再度検討したほうが良いでしょう。

休職満了日直前に復職願が提出された場合

復職願が出された場合は、休職満了日までに上記の手続きを行い復職可否の判断をしなければならないため、急いで対応しなければなりません。とはいえ、実務上、復職届を休職期間満了の数週間前に提出されても、主治医から意見を伺う時間も必要ですし、休職満了日までに復職可否の判断は難しいと思います。

休職発令時の事前説明がトラブル予防のポイント

労働トラブル予防のためには、休職する時の事前説明がポイントです。休職期間の上限が数ヶ月程度の会社の場合、極端に言えば休職を始めるときから、復職する場合の手続きの内容と、会社による復職の可否判断までには時間を要するため復職する場合は早めに復職願を提出するように休職発令時に書面および口頭で通知するほうが良いと思います。

また、休職期間は医師の診断書の加療期間を認めるようにしましょう。例えば医師の診断書に「1ヶ月の加療期間を要する」と記していれば、就業規則の休職期間の上限が1年であったとしても、1ヶ月の休職命令を発令することです。

むすび

就業規則に「休職期間満了日までに復職できない場合は自然退職とする」という規定があっても、全く放置して自然に退職させるという方法はオススメできません。事前に休職期間満了日が近づいていることを通知し、復職と自然退職の選択肢を示して、本人に選択してもらうことです。退職を選択した場合は、合意内容を書面に残し、後々のトラブルの芽を残さないようにしましょう。復職を選択した場合は、復職に向けて話し合いを行い、会社ができる配慮を行えばよいでしょう。そのためには、休職を開始するときの事前説明がポイントです。