労働者50人の事業場!はじめて安全衛生管理体制をつくる時

労働安全衛生法に基づき、一定の基準に該当する事業場では、安全委員会、衛生委員会または安全衛生委員会を設置しなければなりません。委員会を構成するメンバーにも一定の要件があります。今回は、事業場で常時使用する労働者が50人以上になったとき、会社が構築しなければならない安全衛生管理体制について説明します。

常時50名以上の労働者を雇用する事業場とは

常時使用労働者が50人以上の判断

「常時使用している労働者が50 人以上いるかどうか」の判断は、常態として使用しているかどうかで判断されます。例えば週1回勤務のアルバイト、パートタイマーや派遣社員であっても労働時間の長短にかかわらず、継続して雇用し、常態として使用している状態であれば、常時使用している労働者として50 人のカウントに含めます。なお派遣社員の場合は派遣元と派遣先の両方で人数に含まれることになります。

事業場の適用単位の判断

「事業場」とは、行政通達(平成11年3月31日基発168号)によると、事業の適用単位は次のように考えられています。

  1. 事業の名称又は経営主体等に関係なく、相関連して一体をなす労働の態様によって事業としての運用を決定する。
  2. 一の事業であるかどうかは、主として同一の場所かどうかで決まる。原則として同一の場所にあるものは一個の事業とし、場所的に分散しているものは別個の事業とする。

(例外)

  • 同一の場所にあっても労働の態様が著しく異なる部門(工場内の診療所、食堂等)がある場合に、その部門が主たる部門との関連において従事労働者、労務管理等が明確に区分され、かつ、主たる部門と切り離すことによって方がより適切に運用できる場合は、それぞれ別個の事業とする。
  • 場所的に分散している事業であっても、出張所、支所等著しく小規模であり独立性のないもの(新聞社の通信部等)は、直近上位の機構と一括して一の事業として取り扱う。

常時50名以上の労働者を雇用する事業場に課せられた安全衛生管理上の義務

  1. 安全衛生委員会(一定の業種)または衛生委員会(全業種)の設置
  2. 安全管理者(一定の業種)・衛生管理者(全業種)・産業医(全業種)の選任と選任報告
  3. ストレスチェックの実施と報告(全業種)

1.安全衛生委員会・衛生委員会の設置

労働安全衛生法で安全衛生委員会(安全委員会と衛生委員会を統合)または、衛生委員会の設置が義務づけられます。

安全衛生委員会とは

常時使用する労働者が50人以上の事業場で、次の業種に該当する事業場に設置義務があります。

林業、鉱業、建設業、製造業の一部の業種(木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)、運送業の一部の業種(道路貨物運送業、港湾運送業)、自動車整備業、機械修理業、清掃業

※常時使用する労働者が100人以上の事業場では更に業種が追加されます。

主要な審議事項

  • 安全・衛生に関する規定の作成に関すること
  • 危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき甲鶴措置のうち、安全に係るものに関すること
  • 安全・衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること
  • 安全教育・衛生教育の実施計画の作成に関すること
  • 定期健康診断等の結果に対する対策の樹立に関すること
  • 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること
  • 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること

委員の構成

統括安全衛生管理者以外の委員は労使半々の人数になるように構成します。

  • 統括安全衛生管理者 … 当該事業場において、その事業の実施を実質的に統括管理する権限及び責任を有する者(100人未満の場合、選任・届出義務はありません)
  • 安全管理者
  • 衛生管理者
  • 産業医
  • 労働者(安全に関する経験を有する者)

衛生委員会とは

常時使用する労働者が50人以上の事業場(全業種)に設置義務があります。

主要な審議事項

  • 衛生に関する規定の作成に関すること
  • 衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること
  • 衛生教育の実施計画の作成に関すること
  • 定期健康診断等の結果に対する対策の樹立に関すること
  • 長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策の樹立に関すること
  • 労働者の精神的健康の保持増進を図るための対策の樹立に関すること

委員の構成

統括安全衛生管理者以外の委員は労使半々の人数になるように構成します。

  • 統括安全衛生管理者 … 当該事業場において、その事業の実施を実質的に統括管理する権限及び責任を有する者(1000人以上の場合、全業種に選任・届出義務があります)
  • 衛生管理者
  • 産業医
  • 労働者(衛生に関する経験を有する者)

2.安全管理者・衛生管理者・産業医の選任と選任報告

安全管理者

安全衛生業務のうち安全に係る技術的事項を管理します。

資格要件

  • 一定の学歴・履修・実務経験の要件(※)を満たした者で安全管理者選任時研修(9時間)を修了すること
  • 労働安全コンサルタント
(※)一定の学歴・履修・実務経験の要件
  • 大学又は高専で理科系統の正規の課程を修めて卒業 かつ 卒後2年以上の産業安全の実務経験
  • 大学又は高専で理科系統以外の正規の課程を修めて卒業 かつ 卒後4年以上の産業安全の実務経験
  • 高校又は中等教育学校で理科系統の正規の学科を修めて卒業 かつ 卒後4年以上の産業安全の実務経験
  • 高校又は中等教育学校で理科系統以外の正規の学科を修めて卒業 かつ 卒後6年以上の産業安全の実務経験
  • 7年以上の産業安全の実務経験

安全管理者の主な職務

  • 建設物、設備、作業場所または作業方法に危険がある場合における応急措置または適当な防止の措置
  • 安全装置、保護具その他危険防止のための設備・器具の定期的点検
  • 作業の安全についての教育及び訓練
  • 発生した災害原因の調査及び対策の検討
  • 消防及び避難の訓練
  • 作業主任者その他安全に関する補助者の監督
  • 安全に関する資料の作成、収集及び重要事項の記録

衛生管理者

安全衛生業務のうち衛生に係る技術的事項を管理します。

資格要件

衛生管理者の資格は次のいずれかに該当しなければなりません。

  1. 衛生管理者免許試験に合格し、都道府県労働局長の免許を受けていること
  2. 一定の大学又は高等専門学校において医学に関する課程を修めて卒業した者
  3. 一定の大学で保健衛生等に関する学科を選考し卒業した者で、労働衛生に関する講座又は学科目を修めた者
  4. 衛生工学衛生管理者の免許をうけていること
  5. 医師、歯科医師、労働衛生コンサルタント等一定の資格を得ていること

第1種衛生管理者と第2種衛生管理者

衛生管理者免許には第1種と第2種があります。

上記1の衛生管理者免許を有する者を衛生管理者に選任する場合は、事業の種類によって、選任すべき資格に違いがあります。

下記の業種については、第1種衛生管理者を選任します。第2種衛生管理者は選任できません。

農林畜水産業、鉱業、建設業、製造業(物の加工業を含む)、電気業、ガス業、水道業、熱供給業、運送業、自動車整備業、機械修理業、医療業、清掃業

衛生管理者の主な職務

  • 健康に異常のある者の発見及び処置
  • 作業環境の衛生上の調査
  • 作業条件、施設等の衛生上の改善
  • 労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備
  • 衛生教育、健康相談その他労働者の健康保持に必要な事項
  • 労働者の負傷及び疾病、それによる死亡、欠勤及び移動に関する統計の作成
  • 衛生日誌の記載等職務上の記録の整備

定期巡視

衛生管理者は少なくとも毎週1回作業場を巡視し、設備、作業方法または衛生状態に有害のそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。

産業医

一定の医師のうちから事業者の直接の指揮監督の下で専門家として労働者の健康管理等を行います。

資格要件

医師であり、下記のいずれかの条件に該当する者

  • 日本医師会の産業医学基礎研修修了者、産業医科大学の産業医学基本講座修了者
  • 産業医の要請等を行う産業医科大学等を卒業し、厚生労働大臣が定める実習を履修した者
  • 労働衛生コンサルタント(保健衛生)試験合格者
  • 大学で労働衛生に関する科目を担当する常勤の教授、准教授又は講師(経験者含む)

産業医の主な職務

  • 健康診断及び面接指導等の実施並びにこれらの結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること
  • 作業環境の維持管理に関すること
  • 作業の管理に関すること
  • 労働者の健康管理に関すること
  • 健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること
  • 衛生教育に関すること
  • 労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること
  • 心理的な負担の程度を把握するための検査の実施並びに面接指導の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置に関すること

事業者への勧告等

産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認める時は、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができます。

また、労働者の健康障害の防止に関して、総括安全衛生管理者に対する勧告または衛生管理者に対する指導、助言をすることができます。

定期巡視

産業医は、少なくとも毎月1回作業場を巡視し、作業方法または衛生状態に有害のおそれがある時に、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。

労働基準監督署長への報告

統括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医の選任は、その選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、「統括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告」の様式で、遅滞なく所轄の労働基準監督署長へ報告しなければなりません。

3.ストレスチェックの実施と報告

常時50名以上の労働者を雇用する事業場はストレスチェックの実施と所轄労働基準監督署への報告の義務があります。

ストレスチェック実施義務のある労働者

一般健康診断の実施義務のある労働者と同じです。

  • 無期契約、あるいは契約期間が1年以上の有期契約(契約更新により1年以上になる場合を含む)
  • 勤務時間が正社員の4分の3以上の短時間労働者

なお、派遣先における派遣労働者には実施義務はありません。

また、実施義務のない短時間労働者にストレスチェックを行うことは差支えありません。

労働基準監督署への報告

1年に1回、心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書を労働基準監督署長に提出しなければなりません。

むすび

常時50名以上の労働者を雇用する事業場となった場合には、安全衛生管理体制を構築して、ストレスチェックを導入することになります。組織づくり、規程作成、外部委託先の選定など行うべきことが多いです。50名を超える前から少しずつ調べて準備をしましょう。