労働時間は正社員の4分の3未満かつ年収130万円以上なら国民年金と国民健康保険

最低賃金が年々増額している背景もあり、特に都市部ではパートタイマーやアルバイトの時給が高くなる傾向にあります。主婦にとっては短時間で高収入を得られるというメリットがありますが、一方で高収入すぎると夫の扶養から外れて社会保険料の負担が生じるというデメリットがあります。そこで今回は、会社が社会保険に加入させる義務のない短時間労働者が社会保険の扶養要件を超える収入を得た場合は国民年金と国民健康保険に加入することになります。扶養の範囲内で働きたい人、さらに手取りが増えて社会保障も充実するならもっと働きたい人など、多様性が増えるなか、今後会社はどのように対応すればよいのかを考えます。

通常労働者の3/4未満かつ年収130万円以上は厚生年金と健康保険の適用対象外

結論から言えば、通常労働者の所定労働時間および所定労働日数の4分の3未満で、年収が130万円以上の人は、厚生年金および厚生年金の適用対象外となります。

この場合、社会保険に加入できないのではなく、国民皆年金、国民皆保険の制度上、年金制度では国民年金に、健康保険制度では国民健康保険に加入することになります。

最低賃金と所定労働時間の4分の3と扶養要件

大阪府の最低賃金は平成29年9月30日から909円になります。

時給909円で週30時間、年間50週、働いたとしましょう。

この場合の年収は、次のようになります。

909円/時間×30時間/週×50週/年=1,363,500円/年>130万円

上記条件で130万円未満となる場合の時給は、

130万円÷(30時間/週×50週/年)=866円/時間(小数点以下切り捨て) です。

これまでの最低賃金が866円以下で、平成29年10月1日から867円以上になる県は、

千葉県、埼玉県、愛知県です。

すでに867円以上の都府県は東京都、神奈川県、大阪府です。

都市部では、最低賃金であっても時給が高いので、うっかりと扶養要件から外れる可能性がありそうです。

扶養に入っていたい短時間労働者の立場としては、年末になると、年収130万円以下になるように労働時間を短く調整したくなるものです。しかし会社の立場としては、年末の忙しい時期にシフトに入ってくれないと困ります。

この矛盾を解消するためには「会社による社会保険の適用対象の拡大」か「配偶者による扶養対象の拡大」になります。

その答えは明らかで「会社による社会保険の適用対象の拡大」になるでしょう。平成28年10月から、従業員数501人以上の会社では週の所定労働時間20時間以上(他にも要件あり)の短時間労働者にも社会保険への加入対象が広がりました。500人以下の会社でも労使の合意があれば加入することができます。

平成30年から所得税法の扶養の壁が103万円から150万円に変わります。税法上の扶養の範囲内で年収を気にせずに働いてくださいね。しかし、ご本人さんが社会保険の被保険者になって、会社も本人も保険料を払ってくださいね、という狙いがありそうに思います。

今後、会社はどう対応すれば

今後、会社としては、週20時間以上の社員は雇用保険も社会保険も加入させることを前提に人件費総額を考えなければならなくなるでしょう。

また、雇用保険や社会保険の加入義務のない週20時間未満(例えば1日4~5時間×週3~4日)の短時間労働者の一層の活用も考えられます。短時間労働者にできる業務をマニュアル化して、正社員による単純作業や定型業務を減らすという取組が考えられます。さらに人材確保困難の点から言えば、短時間労働者への人件費を将来に単純作業や定型業務を担うAI(人工知能)などに投資するという発想もあるかと思います。